雑感アウトプット

アニメ、映画、漫画、小説、学術書等々の雑多な感想の書き残し。

『おおかみこどもの雨と雪』雑感

金曜ロードショーにて放映された『おおかみこどもの雨と雪』視聴しました。
感想を一言で言えば、良かったです。本当に良かった。細田守作品は『時をかける少女』、『サマーウォーズ』をともに観たのですが、正直、印象はイマイチだったんですね。割と小さい頃に観たからというのもあるかもしれませんが。そのモチベーションで本作の初見に臨んだのですが、見事に期待を上回ってくれました。
親にとって、子どもの成長と変化をひたすら受け入れ、見守る姿勢は、積極的に教育にコミットすることよりも、より多大な疲弊と困難を強いるものです。だからこそ、母は強い。そんな気がします。
子ども2人の対比も、繊細かつ振り切ったタッチをもって絶妙に描かれていました。雪視点のナレーションや、学校と山へ分岐する家の前の分かれ道など、結末を暗示させる要素が中盤から色濃く表れてはいましたが、個人的には納得のいくラストになったと考えています。
演出としては、無音・無声のカットの多用が印象的でした。キャラの心象と視聴者の情念とを相互に滲み込ませるような、独特の間と雰囲気を生み出すのに、効果的に機能していたと思います。
あとは何と言っても動物作画。『SHIROBAKO』以来、特にリアルな動物の作画を意識してしまうのですが、例の馬のカットを担当した井上俊之さんが本作に関わっているということもあり、素晴らしい動物の動きが体現されています。生々しくも野性味と活力に満ちた諸動物の動きは、どこか緊迫したバイタリティを感じさせます。これほどまでに動物の描写において質・量ともに高次元のアニメ作品は、私の知る限り他にありません。
改めて細田監督のセンスと手書きアニメーションの魅力を教えてくれる作品となりました。できれば新作も観てみたいですね。