雑感アウトプット

アニメ、映画、漫画、小説、学術書等々の雑多な感想の書き残し。

『がっこうぐらし!』を日常系として見る

アニメ『がっこうぐらし!』、人気ですね。話題性とインパクトでいえば今期トップでしょう。私も毎週楽しみにしている作品で、今のところ3話まで視聴しました。

人気の火付け的な役割を担った要素の1つとして、ヴィジュアルとのギャップがあることは間違いありません。可愛い女の子のほのぼのストーリーと見せかけて、シリアスでハードな展開を描く。この手法自体はまどマギ以来一般化されていますし、ましてや本作は漫画原作のアニメですので、意外性を獲得するのは難しいのではないかと予想していました。しかし初回の構成と演出が絶妙で、単なるギャップでは収まらないインパクトを感じました。

この衝撃を与える「ギャップ+α」の要素、そして作品のベースともなっている要素、それは、ほかならぬ日常性にあると思うのです。

ハードな展開を基調とする作品は、必然的にキャラクターたちを非日常的な極限状態のもとに据え置くことになります。この極限状態におけるピーキーな心理描写や人間関係の変容を如何に上手く描くかが、作品の良し悪しを決定する大きなファクターとなります。

『がっこうぐらし!』も心理描写に多くを当てているアニメではあります。が、それは極限に追い込まれて狂っていく様を見せるものではなく、あくまでも非日常空間における日常性に寄り添った形で体現されていると捉えることも可能です。その日常性の象徴が主人公たるゆきです。

ゾンビがウヨウヨとひしめき合い、助けを求めることはおろか、外部に生存者を確認することすらできない閉鎖空間。気が狂わない方がおかしいです。大抵のB級ゾンビものなら、「俺はもうこんな学校なんてたくさんだ!」とか何とか言って、マッドなアクションを起こす輩が出てくることもしばしば。実際、くるみ、みーさん、りーくんの3人だけが生き残ったら、そんな展開も有り得たかもしれません。しかしそこに特に異質な存在として屹立するのがゆきです。ある意味で一番歪なマインドを持ち合わせているキャラですが、彼女の存在のおかげで学園生活部が「いつも通り」と呼べる時間・空間を構築することができています。シャベルで先輩をめった刺しにするくるみのもとへ、ゆきが涙ながらに駆け寄って制止する3話のシーンは特に象徴的です。ゆきがもたらすこの日常性は1話から3話までを通底するテーマであり、その点で本作はやっぱり日常系アニメなのかもしれません。

というわけで、ハードホラーな設定だけでなく、まんがタイムきらららしい日常系の一面も捉えながら観たら、『がっこうぐらし!』をより一層楽しめるのではないかと思った次第です。

ところで、私のお気に入りのキャラはくるみですね。ヴィジュアルもそうですが、小澤亜李のボーイッシュな声は聴いていて気持ちがいいです。原作は未読ですが、5巻の表紙に載っているので、途中退場とかはない・・・はず。